地形由来の地名の分類
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■ 地形由来の地名の分類(七種類)

(1) 川
(2) 野原
(3) 坂
(4) 山
(5) 谷(沢)
(6) 海岸: 浜: 「端(はし)海(あま)」に由来する。【出典
(7) 岬

# 川にちなむ地名
・ 二つの川の出会う所: 「落合」「二俣」「川合」「河合」「川井」「合川」
・ 川の流れる様: 「轟」「等々力」「土々呂」「長瀞」
・ 古代には水の流れている所は「水流(つる)」とよばれ、現代では「水流」に「鶴」をあてているところが多い。従って鶴のつく地名は鶴がいたわけでは無く、水の流れるところを表すことが多い。
・ 川幅が狭い所: 「鶴間」「鶴舞」、鶴=川
・ 川の岸壁がそびえ立っている所: 「峡(かい)」「迫(さこ)」「宇土(うと)」。「峡(かい)」は後に「貝」に変わった。
・ 川の水のたまった所: 「袋」。時に「福良(ふくら)」に変化する。
・ 川の深い所: 「釜」。
・ 川を渡る所: 「越川(こえかわ)」。多くは「鯉川(こいかわ)」に変化する。
・ 森林由来の地名: 守、茂理、母理、毛里、毛利。
・ 境界を表す用語: 「坂」「境」「酒井」「

# 山や森林にちなむ地名
・ 山を表す地名には、山、岳、峰、根、尾などがある。
・ 「やま」は「山岳」のように高いところとは限らない。平地にある森や林を「やま」とよぶところは至る所にある。【縄文の地名を探る 本間雅彦 高志書院】
・ 森林にちなむ地名には、森やが付く地名の他、守、茂理、母里、毛利といったものがある。なんだ、中国地方の毛利家の語源はそれか。

# 農耕文化由来の地名
・ 農村の中心部を表す「中村」
・ 原野を表す「原」「中野」「上野」「大野」
・ 「新田」「山田」「本郷」
・ 古代人は人家が集まった所を「むら(村、)」「さと(里、郷)」と呼んでいた。
水の豊富な低地に田をつくり、水の無い小高いところに人家を作った。その結果、小高いところに集落が出来、「村岡」「村山」「村上」「岡村」「山村」「上村」「高村」という地名ができた。
・ 村落周辺の田では足りなくなり、少し離れて水の便の良い所を開墾して農繁期にはその近く(別宅?)に住んだ。本宅に住むことを「村居」と言い、別宅に住むことを「田居」という。これを由来に「村居」「村居」「田居」「田井」「鯛」の地名ができた。
そして、その別宅に永住する人が出てきたことにより「田中」という地名が出てきた。
まぁ、言ってみれば地方出身の代議士が東京に出てきて議員宿舎に住むことを「田居」とすれば、東京に家を建てて住むことを「田中」というのかな?東京に家を建てて住んだ時点で、代議士という仕事を永久的なものと考えたということでしょうか?
・ 飛鳥時代には開墾地を示す「新墾(にいはり)」や「新治(にいはり)」という言葉が出来た。

# 境界由来の地名
※ 古代では集落のある平地を取り囲む山の登り口に境界が存在することが多く、「坂」と「境」は類似語と言ってもよい。「酒井」も同様である。
※ 道の交わるところを「」と言い、周辺の村落の境となることが多い。「」と言えば、「鍵屋のの決闘」が有名だがこのも伊賀越えの街道の分かれ目だったのだろう。それと「功名が」は司馬遼太郎作の小説で土佐藩主山内一豊の妻を主人公としたもので、さしずめ人生の出世の分かれ目といった所でしょうか。

# 中国の地名
宮脇俊三さんの「中国火車旅行」の中国北東部の瀋陽にいく下り。
「中国では、川の北側を陽、南側を陰と呼ぶ。つまり瀋陽は瀋水と言う川の北側にあるから。 」

# 用水と墓地由来の地名
※ 用水に由来した地名には「堀」がつくことが多い。
※ 古代人は野原の一定の場所で火葬を行い、そのような所を「かまば」と呼んだ。「釜田」「姻田(かまた)」「煙田(かまた)」は火葬場由来の地名である。また死体を投げ捨てることを「ほうる」と言い、滋賀県の祝山(ほりやま)は「ほうりやま」由来と言われる。古墳由来の地名には「塚」がつき「大塚」「塚本」などの地名がある。

# 日下(くさか): 草香宮(くさかみや)にいた大草香皇子(おおくさかのみこ)の領地が草香で日当たりが良く草がよくはえるため、日下をあてて日下部(くさかべ)とした。
・ 即位する前の神武の皇軍が大和国入りするときには、河内国の「くさか(草香→日下)」に上陸した。この地は、先住民系の太陽信仰に基づくものという。ニニギ以前に降臨した天孫のニギハヤヒと、蝦夷の混血の物部氏に由来する地名で、「日下」も「ひのもと」と読むことができる。【図解 おおづかみ 日本史 「歴史読本編集部」編 新人物往来社文庫】

# 刑部(ぎょうぶ): 忍坂宮(おしさかみや)にいた忍坂大中姫(おしさかのおおなかつひめ)の領地が刑部。

# 荘園由来の地名: 荘や庄がつく地名がそうである。

# 港由来の地名
以前は「津」や「泊」が港を表す言葉であった。そもそも「港」とは河口を示した言葉のようだ。「津」の代表例は大分県の「中津」、三重県の「津」、滋賀県の「大津」。「泊」の代表例は新潟県の「寺泊」、鳥取県の「泊」、青森県の「夏泊」。

# 渡し場と関所由来の地名
以前は人々の往来が制限されていたが、その往来のチェックポイントとなるのが「川の渡し場」と「山(峠)の関所」である。もっとも関所は山(峠)にばかりあるわけでは無く、街道周囲が狭くなった地点にも存在する。その代表例が山形県と新潟県の境にある鼠ケ関(ねずがせき)である。通った方は御存知でしょうが鼠ケ関の周辺は東は急な山、西はすぐに日本海といった地形で、ここを通らなければ山形県と新潟県を行き来出来ないのは現在でもそう変わりはありません。
渡し場を語源とした言葉には「渡」「渡里」「渡利」などがあり、宮城県南部の海岸沿いにある「亘理(わたり)」も同様である。
また関所に由来するものに、そのままずばり「関」のつく地名が多く、三重県の「関」、岐阜県の「関ヶ原」、山口県の「下関」などがある。

# 経済(商業)由来の地名
「市」がつく地名が代表的で全国に存在する。三重県の「四日市」、滋賀県の「八日市」などが代表的である。また、銀座を代表とした「座」のつく地名は、同業者の集まりである「座」が住んでいた所である。

# 宗教由来の地名
「宮」や「神」のつく地名がその代表で全国に分布する。また信仰していた宗教
由来の「稲荷」「八幡」「天神」「観音寺」「天王寺」などの地名も存在する。 

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