地名のルーツ
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■ 柳田国男曰く、「地名の発生には多面多角的要因が、至って自由な法則としてはたらく」。

■ 地名の始まりは「自然地名」で、川上など。【地名でわかるオモシロ日本史 武光誠 角川ソフィア文庫】

■ 地形由来の地名

# 地名が出来た要因の一つに地形がある。例えば、東京の地形を区分すると山の手台地と下町低地に分けられ、それは日本の国土に共通するものがある。そして、山の手台地にはそれなりの地名が生まれ、下町低地にもそれなりの地名が生まれた。東京の地名集

 名字の由来の約7割は地名由来と言われるが、その地名の由来のどの程度が地形に由来するのだろう。感じとしてはかなり多くの割合を占めるのではないだろうか。

# 特に地形を表す地名には、いわゆる災害地名という物があります。こういった災害地名を心得ておけば、いざというときの災害リスクを軽減できる場合もあるので非常に重要です。

# 平地の地盤にまつわる地名
・ 新田は「田」に限らず「畑」のこともあるので、必ずしも低湿地とは限らない。
・ 低湿地地名: 「あくつ」「あわら」「ふけ」
・ 低地の中で少し盛り上がった微高地で、多くは自然堤防: 「そね」
・ 峠は「手向け」に由来する。また、稜線の鞍部であり、古語の「たわ(たわむ)」を越えると言う意味で、「タワゴエ」から転じたものともいう。
【地名の楽しみ 今尾恵介 ちくまプリマー新書】

# 崩壊地名
・ たけ(竹): もとは「長(たけ)る、猛(たけ)る」で、「高い」「凄い」を意味した。岩が砕けた崩土は古代には「たけ」と言い、高い山も「たけ(岳、嶽)」といった。
・ くわ(桑): 「くえ(崩れ)」や「きわ(際)」に由来する。
・ くり(栗): 「くれ(崩れ)」に由来する。
・ きり(桐): 「きり(切)」に由来し、堤防などが切れたところ。浜名湖の「今切」?

■ 職業部: 職業由来の「部」: 「錦織部」「鍛冶部」「膳(かしわで)部」「山部」「海部」「鵜飼部」「土師部」「弓削部」「馬飼部」「鍛冶部」「舎人部」「佐伯部」「来目部」
出典

■ 産業地名
・ 田: 「〜田」の「田」は接尾語であったことが多い。「田」の漢字は、中国では耕地全般をあらわしたが、日本では水田を「た」と言ったので、水田以外の耕地の「はた」に対して、「畑・畠」の国字ができた。【日本地名学を学ぶ人のために 吉田金彦・糸井通浩 世界思想社】

■ 商業地名
・ 日詰: 月末を意味する。
・ 北九州に多い銀天街は、アーケードの金属製の「銀色の天井」に由来する。
【日本地名学を学ぶ人のために 吉田金彦・糸井通浩 世界思想社】

■ 宗教地名
・ 信仰地名: 礼拝(らいはい、新潟県)、念仏、御手洗(みたらい)。
・ 宗教施設地名: 八幡、山王、天王、神明、大師、太子堂、祖師堂(日蓮聖人をまつる)、坊(東西本願寺)、北野(北野天神による)、天満、諏訪、熊野、神田、神戸、国分。
・ 人丸神社(ひとまるじんじゃ): 柿本人麻呂を祀った。「ひとまろ→ひとまる」と音転した。「ひとまる→火止まる」で、防火の神様として信仰。
・ 北海道には熊野神社が多いそうだが、これは紀州の熊野神社に由来するものではなく、開拓民が熊の害を恐れて、「熊」の字の神社によって加護を願ったものと言われる。
※ 普通は、紀州の熊野神社に結びつけるよなぁ。
【日本地名学を学ぶ人のために 吉田金彦・糸井通浩 世界思想社】

■ 交通地名
・ 八束(やつか): 滋賀県甲賀市土山町頓宮。古代の官営の宿場の駅家(やくか、うまや)が転じたもの。
・ やつか: 長野県青木村。信濃国浦野駅の名残。
・ 厩(うまや) → まや → 前(まえ)という例もある。
・ えき: 中国地方では谷状の湿地を「えき」といい、江木、浴、谷などと書き、場合によっては「駅」とも書く。
・ 旦過(たんか): 修行僧の一夜の宿泊所は、中世には交通の要所に置かれた。福岡県福岡市西区今津字旦過。福岡県北九州市小倉北区魚町旦過市場。旦過は無料宿泊所。
・ 車路(くるまじ): 西日本の「車路」地名のほとんどは古代交通路を意味する。
・ 立石(たていし): 全国的に駅路に沿って「立石」地名が見られる。これらは、切り通し部や渡河点に位置し、なんらかの目印と考えられる。
・ 坂(さか): 古くは峠のことを単に「坂」と呼んだ。東海道の足柄坂の東を坂東(ばんどう)と呼んだ。坂の中でも特に重要な坂を「大坂」と呼び、「逢坂」も本来は「大坂」。
・ 大人(おおひと): 大人足(おおひとあし)は巨人伝説に因む地名。ダイダラボッチ?
【日本地名学を学ぶ人のために 吉田金彦・糸井通浩 世界思想社】 

■ 国・郡・郷の行政地名
・ 隋書倭国伝: 軍尼(くに・国)120人有り、なお中国の枚宰。【日本地名学を学ぶ人のために 吉田金彦・糸井通浩 世界思想社】
※ 中国の地方官に相当するものが120人いた。国造のことか。

■ 温泉・湧き水地名
・ 高清水: 小高い山や岡の上に湧く泉。
・ 平清水: 傾斜地に湧く泉を意味する。
・ 強清水: 湧水量の多い泉を意味し、東日本に多い。
出典

■ 開拓地名
・ 新しく開いた土地を開(ひらく)といい、平木や平吹に転じた。
・ 新墾(にいはり)は、新堀(にいぼり)や日暮里(にっぽり)に転じた。
・ 東日本の開発地名: こうや。高野、広野、紺屋、興屋、興野、幸屋、高野、耕野、高谷、幸谷、神野など。【日本おもしろ地名考 服部真六 文芸社】

■ 荘園関連の地名

■ 縄文語地名: ピラ、ビラ、ヒラ: 崖、傾斜地?「平」。【縄文の地名を探る 本間雅彦 高志書院】

■ 生物地名・ 災害を語り継ぐうちに地名となった。「くさち(草地)」「くさの(草野)」「くさか(草処)」。これらは、水を多く含む腐植土の地に青草が生えて地名になった。

# 地崩れの生物地名
・ かき(欠き): 山を欠く。柿原、柿谷、柿の久保。崖も柿と同様。
・ はぎ(萩): 斜面をはぎ取る。芳賀、箱根も同様。
・ 地学では1日に数センチの動きを地滑り、それ以上を地崩れ(崖崩れ、山崩れ)という。
・ 大阪市北区梅田は梅処(うめど)が語源。
 
■ 渡来の地名: 4〜5世紀ごろは、外国のことを「韓(から)」と呼び、おもに朝鮮半島をさした7〜8世紀ごろは、外国のことを「唐(から)」と呼び、中国や朝鮮を含めた外国一般をさした奈良県の唐古、佐賀県の唐津、滋賀県の唐崎などは渡来人にちなむ地名という。【日本おもしろ地名考 服部真六 文芸社】
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