人の移動がもたらすもの | |
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今も昔も変わらないが、人の移動は、「名字」や「物」、ひいては「文化の移動」をももたらします。
江戸時代の約260年間をみただけでも、全国300諸藩で領地替えがなかった地域は意外に少なく、大規模な人(名字)と文化の移動が頻繁に行われました。
以下に移動の主な例をあげましょう。
■ 名字の移動
# 「東海林」は山形を代表する名字だが、山形県の内陸部では「とうかいりん」読み。庄内地方では「とうかいりん」と「しょうじ」読み。そして、秋田県をはじめとして全国的には「しょうじ」読みが主流である。そんな中で、北海道紋別郡には「とうかいりん」読みの「東海林」さんがまとまってみられる。これから察するに、明治維新後に山形県からこの地に多くの東海林さんが移り住んだのではないかと思われる。
# 「結城」という名字。これは茨城県の結城郡に由来する名字だが現在では全国の約2割が山形県にみられ、その多くは村山地方にみられる。山形市に住んでいると「結城」の名字はそう珍しい名字ではないが、全国の多くの県では「ほとんどみられない名字」と言っても良い。では何故に山形県の村山地方に「結城」姓が多いか?それは、南北朝時代以降に東根市周辺にあった小田島荘の地頭となった結城氏が移り住んで勢力を拡大したものであろう。
# 「千葉」姓は千葉県の千葉に由来する名字だが、本家の千葉県の千葉氏は没落し、奥州藤原氏の滅亡後に当地を領した千葉氏が反映し、宮城県北部から岩手県内陸南部には「千葉」姓が非常に多い。
■ 物の移動
# 山形県に「雪菜(ゆきな)」と言われる野菜があるが、この雪菜は直江兼継が越後から持ち込んだ「長岡菜」と米沢地元の「遠山かぶ」との交配種なのだそうだ。
# 山形も蕎麦どころですが、この蕎麦も保科正之が信濃国から出羽国山形に転封された際に伝えたという話もある。
# また、東日本ではあまりメジャーでは無いが、兵庫県豊岡市の「出石(いずし)蕎麦」は有名だが、これも信濃国上田の仙石氏が但馬国出石(兵庫県豊岡市出石町)5万8千石で転封され、このときに信州蕎麦を出石にもたらし、出石蕎麦となったそうだ。
# 島原の乱で島原藩内の人口が半減したので、各地から移民が来た。中でも、小豆島からの移民が小豆島のうどんを島原に伝えたという。そのせいで島原名物?はうどん。
# 栃木県のかんぴょう。「かんぴょう」と言えば「栃木県」と思ってしまうかんぴょうも、鳥居家が前任地の近江国水口名産の「かんぴょう」を下野国(壬生)に持ち込んだもの。
■ 蛇足
# 日本一暑いと言われる群馬県の館林市。ここの暑さも秋元家が山形から転封された際に持ち込んだものという(笑)
そもそも、学生時代の歴史の授業は「年号を覚えること」が中心で、全然興味がなかったが、年をとって「文化」という切り口で見てみるとなかなか面白いものである。
そうそう、「出石」といえば「蕎麦」の他に「アメノヒボコ」が有名だが、これを書き出すと長くなるので又の機会に。ただ、この「アメノヒボコ」も歴史の本で知った訳では無く、内田康夫の浅見光彦シリーズの「城崎殺人事件」で初めて知った次第だが。