■　140806：　正直（しょうじき）

福島県郡山市に「正直」という名字があり、当地の「正直」という地名に由来する。

「正直」の地名というと、どうしても「正直じいさん」の地名伝説に由来するのか？と思ってしまうが、詳細は不明。ただ、埼玉県や茨城県にも「正直」の地名があり、埼玉県の正直は雑色に由来するのか？と言われているので、福島県の正直も似たようなものか？

さて、その雑色だが、雑色とは昔、宮中の雑用を行っていた職業で、そういった人たちが住んでいたというのが地名のルーツだろう。

ちなみに、京浜急行本線に雑色駅（東京都大田区仲六郷二丁目）というのがあるが、たぶんこの地の旧名も雑色で同様の由来だったのだろう。鉄道つながりでもう一つ加えれば、日暮里・舎人ライナーという鉄道がある。この舎人は東京都足立区舎人町の地名からとっているが、この舎人町という地名も古代、宮廷で雑用を努めた「舎人」が住んでいたことに由来するらしい。もっとも諸説あるらしいが。

とにもかくにも、日本の名字や地名には「当て字」や「転訛」がよくみられ、漢字をいくら眺めても由来にたどり着くことは難しいケースがよくある。そういった時には、「音（読み）」を見てみよう。そうすれば正解にたどり着くヒントが見えてくる。例えば、安倍総理の「安倍」などはその典型であろうか。

しかし、「正直」。いかにも日本的な名字であり地名だなぁ。ちなみに「道徳」という名字と地名もあるが、これはまたの機会に。