「熊野」の地名の由来

「熊野」の地名の由来
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■　熊野（くまの）：　和歌山県・三重県

・　熊野の「クマ」には「奠（てん）」、神への供物の意味がある。神稲と書いて「くましろ」と読む。また、紀伊続風土記には「熊」は「隈」とあり、山深く「こもっている」から「クマ」という。死者が隠れる「隠国(こもりく)」、「隠野(こもりの)」を語源とする説もある。【「死の国」熊野と巡礼の道―古代史謎解き紀行―　関裕二　新潮文庫】

・　熊野古道は鬱蒼として、薄暗いというイメージがあるが、薄暗いのは後に杉や檜を植林した人工林で、昔からの自然林は明るく快適。【「死の国」熊野と巡礼の道―古代史謎解き紀行―　関裕二　新潮文庫】

・　日本書紀に「熊野は死の国」とある。【「死の国」熊野と巡礼の道―古代史謎解き紀行―　関裕二　新潮文庫】　

・　熊野市駅（くまのしえき）：　三重県熊野市井戸町。JR東海・紀勢本線。古事記に、神武天皇が男之水門（おのみなと）からこの地に至ったとき、大きな熊が出たという地名伝説がある。御熊野（みくまの）とも称し、和名抄に「三前（みくま）」郷の名がみえる。昭和３４年（１９５９年）に、紀伊木本駅から改名。【出典】

・　熊野市駅（くまのしえき）：　紀伊木本駅（きいきもとえき）→熊野市駅。紀勢本線。木本町は昭和２９年（１９５４年）に周辺の七村と合併して熊野市になった。【出典】

・　熊野（くまの）：　三重県熊野市。昭和２９年（１９５４年）に合併時の新命名。紀伊半島南部の総称に因む。熊野の語源は、クマ（山間の地）・ノ（野）か。【出典】

＃　熊野（くまの）：　全国に「熊」がつく地名は多いが、そのほとんどが動物の「熊」以外に地形による「隈」の可能性が高い。熊野の場合には以下の説がある。
①　動物の熊に因む説：　これは、後の神武天皇になる神倭伊波礼眦古の命が東征して熊野から奈良に向かった際に、熊に出会ったことからついたという説。古事記には、以下のようにある。「かれ、神倭伊波礼眦古の命、そこより廻り幸して、熊野の村に到りましし時に、大きな熊、髪（ほの）かに出で入るすなわち失せぬ」。実は、このあと、神倭伊波礼眦古の命は、この熊の毒気に当てられ、戦う意欲もなくしてしまったのだが、熊野の「高倉下（たかくらじ）」という猛者が現れて、無事命を護ったという話が記されている。このような故事によって「熊野」という地名が生まれたとされるが、この場合の「熊」は「荒ぶる神」のことで、「熊」そのものではない。
②　地形の隈によるとする説：　「くま（隈・曲・阿）」を辞書でひくと、次のような意味が挙げられている。
・　「川や道などの」折れ曲がっている入り組んだ所。
・　奥まったすみの所。物かげの暗いところ。
・　濃い色と薄い色、光と陰などの接する部分。
　熊野古道は、どこまでも折れ曲がっているし、熊野川も山の奥深くから折れ曲がって流れてくる。また「奥まったすみの所」というのは、至る所がそのような地形で、それがまた多くの信仰の対象になっている。そして、「濃い色と薄い色、光と陰などの接する部分」という表現は、まさに熊野のためにあるように見える。熊野全体が巨大な森になっていて、その全体が１０００年を超える信仰の対象になってきたのであろう。そう考えると、「隈」説が正しいようである。【出典】