現代の佳字(嘉字)考
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■ 佳字(けいじ)とは、漢字の字面が良くない場合に、同じ読みで字面の良い漢字をあてること。「窪田→久保田」「葦原→吉原」などが代表的。「嘉字」とも書く。

■ 佳字・佳名: 和銅6年(713年)に、元明天皇が、諸国の国名は、佳名を使うようにというお触れを出した。代表的なのは、それまで「牟邪志」と書いたのを「武蔵」に直した。


★ さて現代においても漢字の表記があまり良くないとされ表記を変えるケースがたまに見受けられるが、あまりにも芸が無いケースもあるので一考してみたい。

■ 化粧(けしょう)
・ これはどう見ても「化けて、粧う」という意味なのだろう。中には女性蔑視語だなんて言う人も一部にいるかも知れないなぁ(笑)。でも、ほぼ実態をあらわしている表現なんだけどね。
・ さて、ではどう変えよう。これは単純に「華粧」ではどうだろう?意味はずばり、「華やかに粧う」である。余談としては「怪粧」「褻粧」「仮粧」などもあろうか?

■ 障害者(しょうがいしゃ)
# かつては障害者と書かれていたが、いつの頃からか特に行政関係では「障がい者」と「害」をひらがなで書くようになってきた。聞くところによると、「害」は「害を与える」というイメージで、それこそ字面が悪いから変更したようだ。そこで、「障害」の各々の漢字の意味を考えてみたい。
・ 障: 「じゃま」「さしさわる」「隔てる」「防ぐ」
・ 害: 「殺す、傷つける」「損なう」「わざわい」「妨げる」「要塞」「憎い」
# 確かに、「害」という字を見るとあまりイメージは良くない。しかし、それを言ったら「障」の字だってあまりイメージが良くないとも言える。ここからは私見も交えての話だが、これらの漢字を個々に見るとたしかにあまり良いイメージとは言えないが、二つ合わせるとどうなのだろう。つまり、「害」を「障」すると考えれば、「悪いことを防ぐ」という意味にも解釈でき、いわば「マイナス×マイナス=プラス」という表現になるような気もしないでは無い。
# 「障害」という歴史的な表現を変えて「障がい」という表現にした場合、1000年後の日本人はこれをみてなんと思うだろう。「障がいのがいってなによ?」と思わないだろうか。これこそ、現代の我々が常々疑問に思っている古代の表現に他ならないのではないだろうか?
 また、「障がい」と「障」の漢字を一つ残した場合、「障」の字が目立つことになるが、上記のように、この一字だけだとあまり良いイメージには受け取れない。したがって、「しょうがい者」と全部ひらがなにした方が良いのかもしれない。
# しかし、それを言ったら日本語的にはおもしろみが無い。そこでどういう字が適当か考えて見る。
・ 「障」の字を残した場合: 「障街」というのはどうだろう。一般的には障害者は街にでると様々な隔たり(障)を感じる。その隔たりは、障害を持つ部分によって異なり、各々の自宅などにおいては、障害を克服するような対応をしているケースも多いが、街中ではなかなか克服されていないのでそれをあらわしている。
・ 「しょうがい」の音だけ残して全部漢字を変えた場合はどうだろう。「生街」ではどうだろうか?「自分のテリトリーから離れて、街中で生き生きと生活する」という思いを表している。
# なお、調べて見ると、「しょうがいしゃ」はもともと「障碍者」という表記だったようだが、「碍」という字は常用漢字?じゃないので「害」の字をあてたようです。また、「碍」は、もともとは「礙」で、「大きな岩を前に人が思案し悩んでいる様」を示す。つまり自分の意思が通じない困った状態のことらしい。

■ 女中(じょちゅう)
# Wikipediaによると、「女中」とは「家庭・旅館・料亭などにおいて住み込みで働く女性の、日本国内における歴史的呼称」とある。これを見て初めて知ったが、「女中」とは「住み込み」を前提にした表記のようだ。また、「奉公人的性格を持つ女中の担い手は徐々に減少していった。代わって明確な雇用契約に基づくお手伝いさん(家政婦)と呼ばれる類似の職業が一般的になっていった」ともあるように、現代では「お手伝いさん」という表記を使うことが一般的である。勉強不足で恥ずかしい限りだが、「女中」はある種の差別用語なので「お手伝いさん」に置き換わったと思っていたがそうでもないのかな?
# 女中(じょちゅう)と言う読みが悪いなら読みを変えるしか無いが、字面という観点で問題があるならと考えて見たのが「助厨(じょちゅう)」である。「厨」と言えば「調理場」を意味し、女中の仕事は料理だけでは無いからイマイチ物足りないけどね。

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