「い」と「き」
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■ 150127:  「い」と「き」

「埼玉県埼玉郡埼玉村大字埼玉字埼玉」という地名(住所)があります。

というよりも、ありました。現在では「埼玉県行田市埼玉」となっているのかな?

ところで、「埼玉県埼玉郡埼玉村大字埼玉字埼玉」は読めますか?たぶん埼玉県人でも読めない人が多いのではないでしょうか。正解は、(さいたまけん−さいたまぐん−さきたまむら−おおあざ−さきたま−あざ−さきたま)です。わかりましたか?「い」と「き」が混用されているんですね。

「埼玉」には「さきたま」と「さいたま」読みがあり、「さきたま」読みは古い読み方と言われます。従って、古くからある地名の「埼玉」は「さきたま」と読み、新しく名付けられた「埼玉県」などは「さいたまけん」と読むようです。

それと似たような例が山形県にもみられます。それは「置賜」という地名ですね。たとえば山形県東置賜郡高畠町。この場合には「おきたまぐん」と読みます。しかし、米沢市にある奥羽線の置賜駅、これは「おいたま駅」と読みます。

置賜郡の初見は続日本記(712年)に陸奥国置賜郡の表記がみられます。そうなんです、この頃はまだ陸奥国だったんですねぇ。712年に越後国出羽郡が出羽国に昇格し716年に置賜郡と最上郡が陸奥国から出羽国に移管されました。この頃は村山郡はなかったんですねぇ。最上郡から村山郡が分かれたのは886年ですからだいぶ先のこと。この話を書き出すとまた長くなるので今回は省略。

そもそも、置賜は「おきかわる」という意味で、原意は「浮溜ま(うきたま)」で湿地のことのようです。日本書紀には「うきたむ」と書かれています。その他、「おいたむ」おいたま」「をくたん」「おいたみ」など文献によって読みが違いますが、大きく分けると置賜郡は、古代から中世は置賜(おいたみ)、以後は「おきたま」読みなのだそうです。

置賜駅(おいたま)は古い読み方で、置賜郡(おきたまぐん)は新しい読みということになりますか?これは、埼玉のケースとは全く逆ですねぇ。

※ 140503: 置賜地方(おきたまちほう・おいたまちほう)は、日本の山形県の内陸部南部を指す地方名である。大観的に「おきたま」「おいたま」どちらの発音も同義として解釈されるが、「おきたま」の方が古い語である。これは日本語発音上でのイ音便と呼ばれる変遷の一例で、埼玉(さきたま→さいたま)、大分(碩田:おおきた→おおいた)なども同様の例である。【Wikipediaより】

現在でも、置賜には白龍湖があり、昔はこの地が湿地帯だった名残がみられます。また、このあたりの浸水ハザードマップをみると、南陽市から高畠町にかけての広範囲が浸水危険区域となっているようです。実際平成25年と26年の2年連続で大きな水害が起きていますね。

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