「た」は過去形か? | |
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山形県内で電話をかけたときの会話
例えば、AさんがBさんに電話をします。その場合一般的にはこの様に言います。
(1) 「Aさんですか?Bですけど」または「Aさんのお宅ですか?Bと申しますが」
しかし山形県内では以下のように言う場合があります。
(2) 「Aさんですか?Bでしたけど」または「Aさんのお宅ですか?Bでしたけど」
これを見ると山形県以外の人は「えっ?」って思うでしょうが、山形県内では普通に使われる表現なのです。もちろん(1)の表現も使います。
ではどういう時に使い分けをするのでしょうか?それは以下の通りです。
(1)は初めてのお宅に電話したり、訪問したりするときに使う。
(2)は旧知の仲のお宅に電話したり、訪問したりするときに使う。
これを見て、多くの人は「どうして過去形になるんだ」と思われる方も多いでしょう。どうしてと言われても、「そう言うんですからしょうが無いですね」という他ありません。
ところが、先日、『鳥島宏著の「古文」で身につく、ほんものの日本語』を読んでいたら、この「た」の事が書いてあり「目から鱗」でした。
つまり、「た」を「過去形」と思うからそういった疑問がおきるということのようです。
その代表例として書いてあったのが、「〜でよろしかったでしょうか?」という表現で、例えば「御予約は二名様でよろしかったでしょうか?」という表現です。
この本の中で、「た」の持つ意味として以下のように書いてあります。
・ 過去形。
・ 詠嘆。合格発表に名前があった、あった。
・ 完了形。明日になったら。
・ 存続のたり。(例)花が咲いたよ。
この場合の「〜でよろしかったでしょうか?」は、受け身。婉曲(断定をさけて、遠まわしにものを言う)。「〜させていただきます」と、同じとしています。
つまり、「た」だから過去形だと解釈してはいけないんですね。
さて、電話の「でした」という表現はどれにあたるのでしょうか、それが問題なのだが。