表記よりも音に注意
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■ 130619: 表記よりも音に注意

「名字」や「地名」の由来を考えるときに、一番大事な事は漢字の「表記」に騙されないことである。もちろん全てでは無いが、古代の話し言葉(音)に漢字を当てたという事例が多いからである。

まずは、「音(おん)」から入るのが由来を探る極意の一つなのだ。

(1) 長野県の諏訪: この「諏訪」という漢字を眺めていただけでは全く分からない。「どっかから訪れたのか?」なんて考えてしまう。しかし実際は、長野県の方言の「すわ」に由来し、「すわ」とは、谷や湿地のこと。これを聞けばなるほどと思う。「スワ」は「サワ」と同義語で、山から流出する川の水が山地や盆地を潤して湿地や湖を形成している様子を表す。

(2) 佳字に注意: 山形県西置賜郡飯豊町に萩生という集落がある。ここにはかつて「萩生城(はぎゅうじょう)」があり国分(こくぶん)氏がいた。ちなみに缶詰で有名な国分は「こくぶ」読みである。さて本題だが、この「萩生」という地名。飯豊町には「ゆり園」はあるが「はぎ苑」があるのはお隣の長井市だ。ではどうして「萩生」という地名が生まれたのか?私見ではあるが二説が考えられる。

・ 山口県萩市に由来する: 飯豊町には「萩生焼(はぎゅうやき)」があり、この焼き物は山口県の萩で学んだ萩焼の伝統技法に現代的な感覚を加味して作られた焼き物とされ、この地は山口県の萩との交流があったようだ。従って、山口県の萩から「萩生」が生まれた可能性がある。そうなると、一つ疑問が。「萩生」という地名ができる前のこの地の地名は何だったのか?まさにこれぞ「消えた地名」なのかもしれない。

・ 災害地名に由来する: 山形県のホームページの「飯豊町の災害指定のページ」をみると、飯豊町萩生地内には五箇所の指定箇所がある。「南高野沢(土石流)」「柴倉南沢(土石流)」「柳沢(土石流)」「寺分1・2(急傾斜地の崩壊)」である。同じ飯豊町の「椿」も萩生と似たような地形に思えるが、災害指定箇所は一箇所も無い。そして、「萩生」の「萩」は佳字で、もともとは「はげ・はがれる」という音にあてた表記の可能性がある。このように、「植物」を佳字とした災害地名は「栗」「桜」「梅」「椿」など多く存在するようである。そういや、柴倉の倉も災害地名のひとつだなぁ。

【追記】 角川日本地名大辞典によると、山形県西置賜郡飯豊町萩生。恩徳寺の開祖の柿本紀僧正真済が貞観年間に、この地を訪れた時、乗っていた牛の蹄が破れたことから、破牛(はぎゅう)と称し、その後がふたたび訪れた時に、白い萩が咲いていたことから「萩生(はぎゅう)」とした。

地名と災害】 

山形県:飯豊町の区域指定状況】 

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